資金管理中国人民銀行、国家外貨管理局は2019年1月23日付で≪国内上場会社の外国籍従業員が係るエクイティインセンティブの資金管理弁法≫を公布しました。
国内上場会社の外国籍従業員がエクイティインセンティブの対象となる場合の資金の振替ルートや必要書類、エクイティインセンティブについて会社が外貨管理局に対して行う一括登記の方法などを定めたもので、外国人による中国への投資を拡大させることが目的と考えられます。

外国籍従業員をエクイティインセンティブ制度に組み込むことについて、中国は段階を踏んで開放の度合いを高めてきました。

2006年に公布された≪国内上場会社のエクイティインセンティブに係る資金管理弁法≫の試行版では対象に外国籍従業員が含まれていませんでしたが、2016年8月に本施行された際には、「外国人従業員で上場会社において董事、高級管理人員、核心技術に係る人員若しくは核心業務に係る者」はエクイティインセンティブの対象に含まれることが明文化されました。

また2018年9月15日には同弁法の改正により、インセンティブの対象の根拠条文から「中国国内の」という文言が外されたため、中国国内上場企業の外国人従業員で董事、高級管理人員、核心技術に係る人員若しくは核心業務に係る者は国内外を問わずエクイティインセンティブの対象に含まれることとなり、同時に「対象となる外国籍従業員は、証券登記決済機構において証券口座の開設を申請することができる」ことも定められました。

今回公布された≪国内上場会社の外国籍従業員が係るエクイティインセンティブの資金管理弁法≫の骨子となる内容は「会社による登記」「エクイティインセンティブに係る資金の源泉(海外及び中国国内)及び利益の海外送金」で、これらについて必要な手続や書類等が定められています(詳細については本ニュースでは割愛しますが、業務にご必要ということで内容を詳しく知りたい方はお問合せ下さい)。規定の整備により、各企業に制度をより活用させたい考えが見て取れます。

こうした一連の法整備により、中国政府は海外投資家からの資金流入を活性化させたいものと思われますが、そのような大きな流れを捉えるとともに、今回の新法制定は中国で現地子会社を上場させている日系企業にとっても、経営戦略に関わる重要なニュースであると考えられます。

(日本アイアール A・U)


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