「外商投資法」が可決され2019年3月15日、第3期全国人民代表大会(全人代)第2回会議で「外商投資法」が可決され、2020年1月1日より施行されることが決定しました。
外国企業の中国における会社設立にあたっては、これまで長きに亘り「中外合資経営企業法」「外資企業法」「中外合作経営企業法」といういわゆる「外資三法」が適用されてきましたが、今般の「外商投資法」は、変化する社会のニーズに対応すべく三法を一本化し、外国企業の投資の利便性を高めることを目的としています。

内容については今後補足されるであろう実施細則その他の関連規定を含め十分に検討する必要がありますが、ともかく外国企業にとっては数十年に一度の重要な改革と言っても過言ではないでしょう。

中国で外国人の投資に係る法律が初めて制定されたのは1970年代後半。
それ以降、前述の外資三法を中心に、外資導入の枠組みが徐々に構築されてきました。
しかしその後、特に2010年代に入ってからは、対外改革開放推進の流れの中、自由貿易試験区などのパイロットエリアで外資三法の調整や投資分野に係るネガティブリストの導入など新たな取り組みを模索する姿勢が目立ってきました。
外資三法の関連規定が会社法、パートナー企業法、民法など別の法律によってカバーされるケースも増え、また時代の変化に伴う外国企業のさらなる投資・保護促進、管理の規範化などの要求を鑑みると、既に外資三法では対応しきれなくなっていたことは明らかであり、2018年12月の審議開始から3回の審議を経て、わずか3ヵ月で「外商投資法」が可決されるに至りました。

同法は全6章、41条から成っていますが、その根幹となるのは「内外一致」の理念、要するに国内企業と外資系企業の待遇は同じであるべきだというものです。これは、主に以下のような内容に表れています。

  • 外商投資企業は法に則り国家が企業発展を支持するための各種政策について平等に適用を受ける(第9条)
  • 国家は外商投資企業が法に則り標準制定業務に平等に参与することを保障し、国家が制定した強制的標準については外商投資企業にも平等に適用する(第15条)
  • 国家は外商投資企業が法に則り平等な競争を通じて政府の調達活動に参与することを保障する、政府調達は法に則り外商投資企業が中国国内で生産する製品・提供するサービスに対し平等に対応する(第16条)
  • 国家は外商投資の過程において自発性の原則と商業ルールに基づき技術提携が行われることを奨励する。技術提携の条件は投資の各当事者が公平の原則を遵守し平等に協議し確定する。行政機関及びその業務人員は行政手段を用いて技術の譲渡を強制してはならない(第22条第2項)
  • 外商投資はネガティブリストの分野(=投資を禁止する分野)を除き、内資外資一致の原則に則り管理を実施する(第28条第3項)
  • 関連主管部門は内資と一致する条件及び手順に則り、外国投資者の許可申請を審査する。但し法律・行政法規に別途規定がある場合はこの限りではない(第30条第2項)

このほか、外商投資企業が株式や社債等の発行による資金調達を行える点や(第17条)、外商投資企業の知的財産権保護(第22条第1項)に触れている点も注目されています。

重ねて申し上げますが、中国で事業活動を行っている各企業様にとっては、その基盤となる法律が改正されたことになりますので、今後公布されるであろう同法の実施細則や、各部門から別途通知される関連法規も含め十分にチェックすることが必要となります。

弊社からも引き続き続報をお知らせして参ります。

(日本アイアール A・U)


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