出典:中国科学報(2014年5月26日)

蛋白質分子中国科学院上海薬物所の趙強研究員らは、アメリカ国立衛生研究所と協力で、血栓形成過程における重要な役割を果す受容体―P2Y12Rプリン受容体の3次元構造を解明した。本研究成果は、5月1日の「Nature」誌に掲載された。
P2Y12Rプリン受容体は血栓形成を引き起こす重要な因子である。現在、この受容体をターゲットとする薬の売上げは年10億ドルにも達している。だが、高解像度の「写真」がなかったため、P2Y12Rの構造はあまり認識されていない。今までの抗血栓薬はすべてある程度の不足や副作用を含め、無効や呼吸困難を引起すことがある。
現在の研究で、研究員はP2Y12R及びその拮抗剤とアゴニストを含むすべての蛋白質分子の3次元構造を解析し、解像度はナノメートルより小さい単位「オングストローム」に達した。また、受容体が血栓形成を加速する或いは減速する薬剤分子との作用を深く研究し、初めて異なる薬剤分子作用メカニズムについて説明した。
「P2Y12Rの異なる構造を比較することによって、受容体の細胞外領域における大きな可塑性を発見した。この発見は、GPCR構造の多様性や情報伝達メカニズムへの理解に、また血栓症治療薬の開発に大きな価値がある。」と趙氏は述べている。上海薬物所はすでに新薬の開発研究を始めている。

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