外国企業の中国投資の指針

2019年6月30日、中国国家発展委員会・商務部は

  • 「外商投資参入特別管理措置(ネガティブリスト)」
  • 「自由貿易試験区外商投資参入特別管理措置(ネガティブリスト)」
  • 「外商投資産業奨励目録」

の2019年版をそれぞれ公布、7月30日より施行すると発表しました。

ネガティブリストは昨年来の改正、「外商投資産業奨励目録」は2年ぶりの改正となり、外国企業の投資分野に対する規制緩和がさらに進んだものとなっています。

1.ネガティブリストについて

2017年までは、「外商投資産業奨励目録」の前身とも言える「外商投資産業指導目録」の中にネガティブリストが組み込まれていましたが、2018年以降はネガティブリストのみ更新されてきました。
今回公布された2019年版からは、以下のような変化が見て取れます。

  一般地域ネガティブリスト 自由貿易試験区ネガティブリスト
1.禁止を解除された項目 ※ モリブデン・スズ・アンチモン・蛍石の探査・採掘
※ 画仙紙・固形墨の生産
※ 国家が保護する中国原産の野生動植物資源の開発
※ モリブデン・スズ・アンチモン・蛍石の探査・採掘
※ 画仙紙・固形墨の生産
※ 国家が保護する中国原産の野生動植物資源の開発
※ 中国の管轄海域および内陸水域における漁業
2.持分比率の制限緩和が行われた項目 ※ 石油、天然ガス(炭層ガス、オイルシェール、オイルサンド、シェールガスを除く)の探査・開発(中国企業との合弁・合作への限定を撤廃)
※ 人口50万人以上の都市における都市ガス・熱エネルギー供給網の建設・経営(中国企業の持分支配を撤廃)
※ 国内船舶代理会社(中国企業の持分支配を撤廃)
※ 映画館の建設・経営(中国企業の持分支配を撤廃)
※ 公演・興行マネジメント会社(中国企業の持分支配を撤廃)
※ 出版物の印刷(中国企業の持分支配を撤廃)
※ 国内船舶代理会社(中国企業の持分支配を撤廃)
※ 映画館の建設・経営(中国企業の持分支配を撤廃)
3.制限が追加された項目
外資の出資比率が50%未満でなければならない項目として、付加価値電信業務における国内でのマルチ通信、データの保存・転送、コールセンターが追加に
 

2.外商投資産業奨励目録について

「外商投資産業奨励目録」は今年初めて公布されたもので、1995年以来、外国企業の対中投資に大きな影響を与えてきた「外商投資産業指導目録」に、「中西部地区外商投資優勢産業目録」の内容を加え一体化したものとなっています。
一体化したといっても、依然「外商投資産業奨励目録」は全国対象、「中西部地区外商投資優勢産業目録」は中西部地区や東北地区を対象としている点に注意が必要です。

特徴としては、奨励分野の拡大、ハイエンド製造業や生産性サービス業への投資奨励、中西部への産業移転などが挙げられますが、中でもハイエンド製造業への投資奨励については、「外商投資産業奨励目録」の追加・修正項目の80%以上が製造業であり、投資奨励の対象として具体的に5Gコンポーネントや半導体パッケージ、集積回路のエッチング、クラウドコンピューティング向けの設備、工業用ロボットや新エネルギー自動車、インテリジェントカーのキーパーツなどが挙げられている点が目立ちます。
また、細胞医療や航空用新素材などの分野への投資も奨励されています。

各文書の中国語原文はこちらをご参照ください。

※中国法律ニュースの過去の関連記事(外商投資産業指導目録の改正)はこちらをご参照ください。

(日本アイアール A・U)


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