出典:医薬網(2016年3月21日)

科学者中国科学院上海生命科学研究院生物化学・細胞生物学研究所の許琛琦研究チームと李伯良研究チームはこのほど、T細胞の抗腫瘍効果を高める新たな方法を発見した。
これはT細胞のキーとなる標的を制御することによりその代謝状態を変化させるというものである。該チームはさらに新たな薬物標的を発見し、新規な「腫瘍免疫治療」方法の基礎を築いた。
関連する成果は国際的な学術雑誌「Nature」オンライン版で2016年3月17日に発表されている。

周知のとおり、腫瘍の出現と人体の免疫系の機能の乱れは緊密な関係にあり、科学界においては、「腫瘍免疫治療」が人体の免疫系を「根源」から修復することで癌を治す「究極の手段」と認識されている。またT細胞の腫瘍中での制御及び殺傷機能は高く、臨床では通常、T細胞の活性を高めることにより腫瘍を治療している。

許琛琦研究チームと李伯良研究チームはT細胞の抗腫瘍免疫機能を研究している際、T細胞の代謝経路におけるACAT1が1つの適切な制御の標的であり、その活性を抑制することにより細胞傷害性T細胞の抗腫瘍作用が大幅に高まることを発見した。また、マウス実験において、科学者はACAT1の低分子阻害剤Avasimibeが良好な抗腫瘍効果を有することを発見した。該阻害剤と既存の腫瘍免疫治療の臨床薬物anti-PD-1を併用すれば、効果はより高いものとなり、腫瘍治療の有効性を高めることができるとともに、薬物の投与量・毒性と副作用を軽減することもできる。

東方肝胆外科医院の王紅陽院士は、この研究は「腫瘍免疫治療」研究における1つの完全に新しい分野を切り拓き、細胞の代謝が腫瘍免疫応答に与える重要な作用を証明するとともに、ACAT1という新たな薬物標的を発見し、ACAT1低分子阻害剤の利用可能性を示し、腫瘍免疫治療に新たな考え方と方法をもたらしたと語っている。

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