登記手続き中国で登記手続の簡素化がさらに進められる見通しです。
国務院弁公庁は2016年6月30日付で、≪「五証合一・一照一碼」登記制度改革を速やかに推進することに係る通知≫(国弁発[2016]53号)を公布し、2016年10月1日より、これまで中国国内の企業が取得しなければならなかった各種登記証の一本化をより推進する方針を示しました。
なお「五証合一」とは5種類の証書を一本化すること、「一照一碼」とは1枚の営業許可証に1つのコードを付すことを意味しています。

中国は、2015年10月1日から「三証合一」による企業登記制度を開始しました。これは、

  • 工商営業許可証(工商行政管理部門が発行)
  • 組織機構コード証(品質監督検査検疫部門が発行)
  • 税務登記証(税務部門が発行)

の3種類の登記証を、18 桁の統一社会信用コードを付した新たな「営業許可証」に一本化するというもので、企業の登記手続が大幅に簡素化されることとなりました。
国弁発[2016]53号は、この「三証合一」をさらに推し進めるもので、上記3種類の証明書に加え、

  • 社会保険登記証(社会保険取扱機構が発行)
  • 統計登記証(統計部門が発行)

も、新たな形式の営業許可証の中に統合するというものです。

つまり、これまでは5部門を巡ってそれぞれ登記証を手続きが必要であったところ、今後は「必要書類一式を揃えて一枚の書類に記入し、工商局の窓口に提出するだけ」という流れになります

なお、10月1日以降に企業を新規設立する場合は新制度に従って手続きすることになりますが、昨年導入された「三証合一」制度自体も原則として2017年末までが移行期間とされているため、既存の企業の証書切り替えをいつどのように行うべきか等については十分な確認が必要になります。ちなみに、国弁発[2016]53号では、既に「三証合一」制度に従い社会信用コードが記載された営業許可証を受領している場合、改めて「五証合一」の登記を行う必要はなく、登記機関によって関連の登記情報が社会保険取扱機構・統計機構等に送られるとされています。
また、地域によって関連5部門の情報共有体制が異なること、またかねてよりこうした行政簡素化等の制度改正にあたっては事後調査を強化する姿勢が示されている点にも注意が必要です。

これら5部門の登記証は、当該部門のみでなく、例えば外貨管理局での送金手続の際に必要となる場合があるなど、他部門での手続きにも影響してくる可能性があります。
今後、国家レベル及び地方レベルでより実務的な通達が出ると予想されますので、続報に十分ご注意の上、中国子会社で適切な対応が行われているかについても十分ご確認ください。

通知の中国語原文はこちらをご参照ください。

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