中国金融今回は金融関連法(条例)である、「預金保護条例」の施行のニュースをとりあげます。

中国は5月1日から銀行の預金保険制度を導入しました。年内の預金金利自由化に向けた安全網整備の重要な一歩となると報道されています。
保護範囲は預金者1人あたり50万元(約1,000万円)までと先進国並みの高い水準に設定されました。人民元の預金だけでなく、外貨預金も保証の対象となるとのことです。
政策的に預金金利が低く抑えられている中国では大口預金者の数はそれほど多くありません。人民銀行によると、99.6%の預金者の残高が50万元以下となっています。銀行破綻時には、ほとんどの預金者が保護の対象となる見通しで、預金者の安心に繋ります。

預金保険制度の財源となる資金は各銀行が負担することになり、全ての銀行が預金残高やリスクの度合いに応じて定められた預金保険料を納付する必要があるとされています。銀行が負担する預金保険料率を銀行の信用力に応じて設定することで、信用力の改善を自発的に促す仕組みとなっているようです。
多くの先進国では以前から定着している預金保険制度ですが、中国では20年以上前から検討し始めて、ようやく導入に至りました。その背景には、経済成長が減速するなかでの銀行の不良債権が増加している問題や、金利自由化を進めるなかで個別の銀行の経営破綻が金融システムの大きな危機へと波及するリスクへの懸念などがあるようです。国務院は預金保険制度が「預金者の正当な権利や利益を保護し、金融リスクを防ぎ和らげるほか、金融の安定を維持する」と説明した上で「銀行は今後、自らの損失や利益に責任を持たねばならない」と指摘しています。

中国で事業を行う金融機関は、これまで以上に信用力を高めていく努力が重要となりそうです。


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